メロン

 メロンは日本へ、マクワウリやシロウリとして弥生時代に導入されたが、メロンとして栽培される品種の系統は明治以降である。形態的には、ネット系メロンとノーネット系のメロンに分けられる。

・作型
 日本のメロンは、露地メロン、ハウスメロン、温室メロンと分けられることが多い。温室メロンは栽培技術が必要だが、ネットが均一に盛り上がる美しい外観に、とろけるような肉質と濃厚な甘みと香りを放ち、高単価で取引きされる。露地メロンはマクワ型の品種で病害に強く早生で作りやすいが食味はやや劣る。ハウスメロンは温室メロンよりも作りやすく、品種改良が進みネット系とノーネット系に分けれらる。
 メロンの作型は幅広いため、ここではハウスメロン栽培を中心に説明する。一般的な作型はハウス半促成栽培で1~2月播種、トンネル早熟栽培は3月播種、ハウス抑制栽培では7月播種である。

・種子
 メロン類の発芽適温は28~30℃と高く、その後の生育の最適温度も25~30℃と高い。最低でも15~16℃を必要とする。低温下では好暗性となるが、発芽適温域では光の影響はほぼみられない。生育期の光飽和点は5~6万luxと比較的強光を好む。
 メロン類の着花習性は通常は主枝に雌花は着かず、側枝(子づるや孫づる)の第一節に着き、雄花は主枝と側枝に着く。開化前から曇雨天が続いたり、13℃以下の低温に遭遇したりすると、花粉稔性が悪くなり着果率が低下する。受粉後は正常に受精を完了させるために保温する。
 土壌適応性は広いが、根は浅根性で酸素要求度は高い。pHは6.0~7.0が適正である。

・品種選び
 ネット系、ノーネット系ともに栽培できるが作型に適するとともに目的に合う品種を選定する。ネット系でも緑肉系の「アンデス」「タカミ」や、赤肉系の「クインシー」などの代表的な品種があるが、その他にも特色ある品種もある。

・播種および育苗
 播種は少量であればポットに撒いても良いが、通常は箱播きか72穴程度ののセルトレイに播種し、ポットに鉢上げする。温度は低すぎると生育がバラツクので適温の28~30℃とする。温度が高すぎると胚軸が伸びるなど徒長して軟弱になりやすい。出芽したら25℃とし、鉢上げ前には22℃程度とする。鉢上げは本葉が出る前か見え始めたら行い、18℃以下にならないように管理する。
 作型によって温度管理の方法は異なるが、温床の設定温度やトンネル被覆資材の種類などによって生育障害が出ないように管理する。早熟栽培は露地のトンネル栽培となるため、定植直前には外気に当てて10℃程度の気温に順化させる場合もある。

・定植
 保水性が透水性を良くするために有機質主体の堆肥を投入し、10a当たり窒素およびカリは10~15㎏、リンは20~25㎏として深耕を行う。定植後の地温を確保するために1~2週間前には畝立て、マルチ、トンネルの設置を終えてベッドの地温を上げておく。ベッドは高さ20㎝程度で、つるを這わせても果実がベッドに乗るように2.0m以上に。地温の目安は深さ15㎝で16℃以上あれば問題ないが、低温だと植え痛みや着果不良となる恐れがある。乾燥していると土壌の保温効果が小さくなるので土壌水分を保つようにする。潅水チューブは株元から30㎝ほど離してマルチの下に設置する。
 定植する苗は本葉3.5~4枚程度が適期である。根鉢が隠れないように浅植えとし、株間は60~70㎝が標準的である。間口は3.6mでは1畝とするが、間口5.4か4.5mなら2畝とする事が出来る。