ニンニク

 ニンニクは、ヒガンバナ科の多年生球根植物で、暖地系と寒地系がある。生育日数は長いが、乾燥させると球の貯蔵性が良いので作型の分化はほとんどない。

・生理生態
 生育適温は、15~20℃で、比較的暑さ、寒さに弱く、25℃以上で生育が抑制される。
 ニンニクは定植後に発根・萌芽し、年内には葉が5~6枚出た後低温で生育が止まる。翌春、気温が上がってくると再び生育が始まり、葉が7~8枚出た頃から球(りん茎)が肥大する。球の肥大には、この低温に当たった時間(低温要求度)が関係している。この低温要求度は、暖地系品種で短く、寒地系品種で長く三か月以上必要である。このため、寒地系品種は球やりん片が大きくて市場性が高いが、暖地で栽培すると低温不足により球の肥大が悪くなり、収穫期も遅れる。

・定植準備
 定植後気温が低下するまでに、根を十分に伸長させるととと、葉先枯れの防止のため春先に乾燥させないことが重要。そのためマルチの使用や有機物施用による土づくりが有効となる。ニンニクの養分吸収量は10a当たり窒素、カリともに15㎏、リン8㎏程度で、施肥量は10a当たり堆肥を2t、緩効性肥料や有機質肥料を主体にマルチ栽培では窒素、カリともの20㎏、リン25㎏を全量元肥として施用する。無マルチ栽培では、窒素、カリともに10㎏、リン15㎏を元肥として施用する。

・定植方法
 ベッド幅100㎝、通路50㎝の畝を作り、3415(条間25㎝、株間15㎝、5条)の透明から黒色の小孔マルチを敷く。球(りん茎)をりん片(1個3~5g程度)に分割し、深さ5~7㎝に植え付け、覆土する。萌芽後、草丈が10~15㎝のとき1株から2茎以上出たときは生育の良い1芽を残して他を摘み取る。
 追肥は栽培地や品種に合わせた時期に窒素で5㎏程度を2回施す。追肥が遅れると裂球が多くなるので注意する。抽苔は栽培地や品種により花茎の出方は異なるが、そのままにしておくと球の肥大が悪くなるので早めに花茎を摘み取る。春先、土壌が乾燥している時は適宜潅水を行う。病害虫は、種球はウィルスに汚染していないものを使う。葉枯病、さび病、春腐病、アブラムシなどもあるが必要に応じて薬剤防除を行う。