スイカ
スイカはアフリカ南部が原産地で、エジプトでは4000年以上前から栽培されていたとされる。日本には中国やアメリカ経由で1600年頃に伝わり、以後様々な品種が育成された。
・作型
スイカの基本作型は2月播種のトンネル栽培、3月播種の露地栽培である。播種時期や定植時期が早いほどトンネル被覆の期間が長くなる為、大型のトンネルが必要になる。
3月播種でも定植直後は防霜・防風、活着促進のために被覆を行う必要がある。スイカは初期育成が遅いのでキュウリやカボチャに比べると育苗日数が長く、定植までに二ヶ月を要する。収穫は二月播種トンネル栽培で七月上旬、三月播種で八月上旬である。
・種子
スイカもカボチャと同様に低温で嫌光性が強く現れる野菜である。発芽適温は25~30℃で、20℃を下回ると発芽揃いが悪くなる。
幼苗は10℃を下回ると生育が著しく遅延するので、積極的に保温に努めること、生育適温は25~30℃が適し、光飽和点は八万luxで、高温・強日射の条件を好む。土壌は気相率が高く排水性の良いものが適する。
・育苗
55~128穴のセルトレイや育苗箱を使う。セルトレイは一穴一粒播きとし、根鉢が形成されたらビニールポットに鉢上げする。接ぎ木栽培の場合、台木は3~5日早く播種する。
・温度管理
発芽には高い温度を必要とするので、30℃の温度が確保できるよう温床を準備する。発芽後は徒長しない程度に温度を下げる。なお、接ぎ木した場合、接ぎ木部分の活着には高めの温度が適するので、五日間程度は25~30℃の湿潤条件で養生する。
・潅水管理
スイカは低温に敏感なので潅水時の水温に注意する。また、潅水のやりすぎにも注意が必要。自根あるいは接ぎ木の台木の種類に関係なく、用土の水分が多すぎると軟弱徒長気味に育つだけでなく、根の発達が遅れ、定植後の活着が悪くなる。
・接ぎ木
スイカはキュウリ同様、つる割病などの土壌病害を回避し、低温期の生長を促したり草勢を強めたりする目的で接ぎ木が行われる。台木には同じウリ科のカボチャ、ユウガオ、トウガンなどが使用される。この中で果実品質が優れるのは共台(スイカの野生種)である。トウガンも果実品種は良いが、低温には弱い。接ぎ木しやすいのはユウガオである。カボチャ台木を用いると果実品種が悪くなるが、低温には強くなる。接ぎ木方法は挿し接ぎが一般的である。
・施肥管理
スイカの養分吸収は開花期までは穏やかだが、着果以降に急激に増加する。栽培条件にもよるが、総吸収量は10a当たり窒素10㎏、リン2㎏、カリ15㎏程度である。カボチャと同様、生育期間の多肥着果不良の原因となる。また、窒素の供給が収穫期まで続くと、糖度低下など品質に影響が現れる。全体の六割程度を元肥で、残りは草勢を見ながら追肥する。
・定植
畝間は4~5mとするが、最初は1.5m程度のカマボコ型の畝を作りマルチを敷設する。株間120㎝でやや浅めに定植し、穴あき農ポリなどのトンネルやホットキャップで保温する。外気温が15℃以上になってから被覆を除去する。