カブ

 カブはアブラナ科アブラナ属の野菜で、ハクサイなどと同一種である。大根と同じように木部肥大型の根菜で、地上に出ている胚軸部と地下部の根部が肥大したものである。カブの大きさや形は様々で、色は白、赤、赤紫がある。

・作型
 カブは和種系と洋種系、2つの交雑種に分けられる。洋種系は耐寒性があり東日本で多く分布している。主に関東地方で生産される球形で白いコカブは金町コカブをもとに各作型に適応した品種が育成され周年栽培できるようになっている。和種系は西日本で多く、天王寺カブや聖護院カブなどがある。このようにカブの種類は多くみられるが、以下はコカブ栽培を中心に示す。
 カブは冷涼な気候を好むので、高温期や厳寒期は作りにくく春作や秋作が最も作りやすい。しかし、コカブには暑さや寒さに強い品種があり、抽苔が遅いものもあるので周年栽培ができる。露地栽培における収穫までの日数は夏季で35日から40日、冬季は90~110日かかるが、施設ならば登記でも90日以内で収穫できる。

・生理生態的特徴
 発芽適温は15~20℃で生育や根の肥大も同温度が良いと考えられる。高温で発芽が悪くなり根の肥大も劣るが耐寒性は強く0℃以下でも耐えられる。土壌適応性は広く、pH5.5~7.0に適応する。光はやや強い方が良い。
 種子が吸水し発芽する段階から低温に感応する種子感応型で、12~13℃以下に一定期間遭遇すると花芽分化する。その後、高温・長日で花芽が発育し抽苔するが、花芽分化前に短期間の低温遭遇しても20℃以上の高温にあうと脱春化(ディバーナリゼーション)によって低温の作用が失われる。晩秋から冬季に播種する場合、抽苔抑制のため晩抽性品種を利用するが、ハウス栽培やトンネル栽培とし、温度を高めるのは生育促進の他この作用を利用して花芽分化を遅らせる効果もある。

・播種
 施肥は元肥をきちんと効かせて初期から生育を促すようにする。春播き栽培での施肥例は表1に示したが、栽培時期に合わせて多少増減させる。10a当たりの成分量は窒素およびカリが10~12㎏、リンが12~16㎏で夏作ではさらに削減できる。
 巻き方は点播か条播とする。畝の高さは5~10㎝で畝幅は収穫や被覆の作業性を考慮しながら90~120㎝程度で決める。条間12~15㎝、株間10~12㎝を基準とするが、高温人の栽培では広めにし、混み合わないようにして徒長や病気の発生を予防する。間引きの省力化をするためにシードテープやクリーンシーダなどの播種機を使うことも増えている。