イチゴ

 イチゴは、北米東部原産と南米チリ原産の野生種同士の交雑により育成された種間雑種のバラ科多年生草本植物。日本で本格的な栽培が始まったのは明治以降で、さらに昭和30年代にビニールフィルムの普及とともに全国各地に拡がった。

・作型
 イチゴは休眠と花芽分化の制御、品種の使い分けにより、4つの作型に分類できる。また、他の野菜と比べて品種による生理・生態的特性が異なり、地域や作型によって栽培方法も大きく異なる。ここでは、東京都内における促成および露地栽培の栽培方法について述べる。

・生理生態
 生育適温は15~20℃で寒さに強いが高温・乾燥に弱く、5℃以下または30℃以上で生育が止まる。根は浅根性で、地温は18~21℃が適温である。強い光は必要とせず、光合成の光飽和点は2~3万luxである。
 花芽分化は、平均気温15~25℃で短日条件下で分化し、それ以下は日長に関係なく分化する。分化後の花芽の発育は、高温・長日条件で促進される。最近の促成用品種は平均気温22~23℃、日長12~13時間となる9月中旬~下旬に花芽が分化する。
 休眠は、花芽分化よりも低温、短日条件で植物体がロゼット化する。10月中旬頃から始まり、11月中下旬に最も深くなり、その後一定期間の低温に当たると打破される。打破のために必要な低温(5℃以下)を当てる時間は品種によって異なり、促成用品種で100時間以下、露地用品種で500時間以上である。

・促成栽培の管理方法
・採苗
 炭疽病に弱いので雨が当たらないハウス内で採苗する。10a当たり窒素成分3~5㎏施用し、畝幅1.5~2mベッドを作り、3月中旬~4月上旬に株間60~90㎝で無病の親株を植え付ける。5月中下旬頃から遮光し、6月以降から発生したランナーを混みあわないよう配置し、下葉を整理する。採苗は7月上~中旬頃に径9~12㎝黒ポリポットに本葉2.5~3枚の子株をピンで固定して鉢受けする。
・育苗
 ランナー切り離し後、高設ベンチや防根透水シートなどを敷いたベッドの上に、葉が重ならないように鉢を並べる。花芽分化する事に植物体の窒素が多いと分化が遅れ、極端に窒素を切ると芯止まりが発生しやすくなる。その為、施肥は、一株あたりの窒素成分で基肥として100mgを施肥し、追肥は80~100mgを8月中旬まで与え、以後窒素を切る。また、炭疽病の予防のため、ローテーションで薬剤の散布を行う。
・定植
 通気性や排水性が良い圃場を選び、土壌消毒を行う。養分吸収量は、10a当たり窒素20㎏、リン10㎏、カリ25㎏程度とし、土壌診断を行い、施肥量を加減する。施肥は元肥として10a当たり堆肥を2t、窒素成分で15㎏を緩効性肥料や有機質肥料を主体で施用する。十分潅水してから、畝幅80~90㎝、高さ40㎝のベッドを定植2週間前までに作っておく。
 定植が早すぎて花芽分化していないと、栄養生長が盛んになり収穫が遅くなり、定植が遅れると、芯止まり株や着果数減少の原因となる。出来るだけ検鏡を行い、花芽分化を確認したら、すぐに定植する。通路側に花房を発生させるためランナーをベッドの内側に向け、株間22~25cmの二条千鳥植えで浅植えにする。定植後、活着まではベッドを乾かさないように少量多回数で潅水を行う。

・露地栽培の管理方法
・採苗、育苗
 5月下旬までに土壌消毒した露地またはハウスで、畝幅1.5~2mベッドに株間60~90㎝で親株を植え付ける。採苗は一番目の子株は使わず、本葉3~4枚の倭かい根が多い2~3番目の子株を選び、8月中~下旬に行う。10a当たり窒素成分で5㎏施用し、畝幅1~1.2mの仮植床を作る。親株側のランナーを3~5㎝残して切り離し、仮植床に条間、株間ともの15㎝で植え付け、十分に潅水する。活着するまで遮光ネット、その後9月中旬頃まで寒冷紗でトンネル被覆をし、乾燥が著しいときは適宜潅水する。