タマネギ

 タマネギの原産地は中央アジアで、その後アジア西部から地中海沿岸、ヨーロッパ地方へ広がった。日本へは18世紀に南蛮船によって伝来したのが最初であるが、根付いたのは西欧系品種が導入された明治以降である。

・作型
 タマネギの系統は結球に要する日長時間と低温から分類される。晩生種になるほど結球に日長を要するようになる。作型は極早生系~中晩生を用いた9月播き栽培が中心だが、早生なものほど早くから播種が可能になる。早生品種は外皮が薄く萌芽もはやいので貯蔵には向かない。貯蔵用には中生~晩生種を用いる。

・種子
 タマネギの種子はネギと同様に短命である。発芽適温は15~20℃で、最低で4℃以上、最高で30℃以下である。育成適温は15℃前後であり、良く日の当たる場所が適する。土壌適応性は広いが、苗の状態では乾燥に弱く、球の肥大が始まる頃から比較的乾燥に強くなる。
 土壌pHは6.5~7.5が適し、酸性には弱い。花芽は葉鞘径1㎝以上に達した苗が10℃以下の低温に30日以上晒されると分化し、その後の高温と長日で抽苔が促進される。大苗ほど低温に敏感になるので、播種が早すぎると抽苔し、球の収量や品質が低下する。花芽分化は栄養不足(体内窒素濃度の低下)でも起こりやすくなる。

・育苗
 育苗は、地床ではネギ(太ネギ系)に準じて育苗する。本圃での栽植本数は2500~3000本/aが基準となるので、播種粒数は間引きを考慮し、これよりも多く播種する。
 発芽後、株間8㎝を目安に間引きする。定植適期は播種後55日前後、葉鞘径が5~5mm、苗重4~6㎏の頃である。セルトレイ育苗は、200~448穴などの容積の小さいサイズが用いられるが、容積が大きいほど収量も高くなる。セルトレイ育苗の場合もネギに準じて育苗する。タマネギの育苗で特に気を付けたいのが播種時期である。早播きすると抽苔しやすく、遅播きすると肥大が十分に得られない。種苗会社が公開している作型表に注意して播種時期を正しく設定することが大切である。

・圃場準備
 タマネギの養分吸収量は、10a当たりで窒素15㎏、リン6㎏、カリ30㎏程度とされる。定植後は気温が低下して成長が穏やかになり養分吸収量は少なくなるが、中生種は3月に入ると地上部や根の生育が進み、四月中下旬頃から球の肥大が進む。よって養分吸収量が増えるのは三月以降なのd、それに見合うように肥料を利かせることがポイントとなる。

・定植
 タマネギの定植は播種後55日前後で、葉数3~4枚、重さ4~6gになった頃である。栽培距離は、条間20~30㎝の2~4条、株間10~18㎝とする。植え付けの深さは、葉鞘部分が半分埋まる程度である。保温や雑草防除にに黒色のマルチが有効であり、規格は9415(条間15~20㎝4条、株間15㎝)や、9515(株間14㎝5条、株間15㎝)などが用いられる。貯蔵用のタマネギは栽植密度を高くして肥大を抑え、締まりの良い球にする。