カボチャ

 メキシコを中心とした中南米地域が原産地で、果実に深い溝があり果肉が粘質のニホンカボチャ、表面が平滑で肉質が粉質かつ甘味の強いセイヨウカボチャ、果実の形や食味が風変わりなペポカボチャの3種類に分けられる。

・作型
 日本で栽培される食用品種の大部分がセイヨウカボチャでで、ズッキーニはペポカボチャの一種である。
 カボチャは二月播種のトンネル栽培、四月播種の露地栽培が一般的な作型である。低温に強いセイヨウカボチャはウリ科の中でも早くから栽培できるが、最低気温が5℃以上となってからの方が栽培しやすい。収穫期は2月播種で6~7月、4月播種で8月となる。

・種子
 カボチャは低温時に嫌光性が強まる野菜である。発芽適温は20~30℃であり、10℃以下および40℃以上では発芽しにくくなる。
 発芽後は、低温に強く吸肥力も強いので生育が早い。セイヨウカボチャの生育適温は17~20℃で、やや冷涼乾燥の気候が適する。一方、ニホンカボチャの生育適温は25℃前後で、セイヨウカボチャよりも高温、多湿の条件が適する。ズッキーニなどペポカボチャの仲間は比較的低温の10~25℃が適温である。カボチャの光飽和点は4万5千luxと高く、光量が不足すると茎葉の徒長、流れ果の発生などで着果が悪くなる。
 土壌適応性は広く、根は比較的浅いが広く分布し、吸肥力や乾燥体制が強い。ウリ科野菜の中でも連作障害が現れにくく、低温に強い野菜である。このためキュウリやスイカのような接ぎ木栽培を必要としない。
 また、カボチャは雌雄異花で最初の雌花は9節付近に着生し、以後4~6節おきに雌花が着生するが、すべての雌花が結実することはなく、養分の競合などにより落果することが多い。

・育苗資材
 カボチャはキュウリよりも苗が大きくなるので播種容器は直径9~12㎝のビニールポットとするのが一般的である。ビニールポットに3粒程度を播種し、子葉展開後に一株に間引くようにする。

・温度/潅水管理
 カボチャの発芽温度は前述の通りで、苗床では25℃を目標に温度管理する。本葉が2枚展開したら昼間20℃、夜間10℃程度で管理し、軟弱徒長を防ぎ、定植後の環境変化に耐えられるように慣らしていく。
 他のウリ科と同様、土壌水分が多すぎると根の発達を妨げるので、潅水は午前中に行い、夕方~早朝にはポットの土の表面が軽く乾くようにする。

・圃場の施肥管理
 カボチャの施肥量は窒素の成分量で15㎏/10a程度を基準とする。元々吸肥力が強く、生育初期に多肥にすると、草勢が強まり着果不良を招くことがある。窒素とカリは、総施用量の6割程度を元肥として用い、一番果の着果以降に様子を見ながらつる先に1~4回追肥する。

・定植
 定植の時期はポットに根がよくまわり、本葉が4~5枚になった頃である。畝にはマルチフィルムを敷設しておき、地温が上がる暖かい時に定植する。定植時に潅水する場合は冷えていない水を使用する。
 定植後は保温と防風をかねて寒冷紗などでトンネルを被覆する。圃場で保温処理ができない場合は苗を大鉢に移し替えて育苗し、地温が上がるのを待ってから定植する。

【ピーマン】
 ピーマンはナス科トウガラシ属で、日本では、緑色の未熟果が多く流通しているが、着色果も多い。完熟した果実には、赤、黄、橙、白、黒、茶、紫の7色が見られる。完熟果のうち、果実がベル型で大きく肉厚で、甘い品種をパプリカと呼ぶ。

・作型
 温暖地で2月中旬に播種する場合は早熟栽培となり、4月下旬の定植となるので保温が必要となる。3月上旬の播種では露地栽培となり、定植は5月の連休明けくらいになるので、保温は必ずしも必要ではない。

・種子
 ピーマンは野菜の中でも最も高温性があり、発芽適温は30℃前後と高く、生育適温は25~30℃である。15度以下で生育が萎え、10℃以下では止まる。光飽和点は約3万luxとナスよりも低日射に耐える。
 花芽は本葉2枚頃から分化しはじめる。花芽はトマトやナスと同様に頂芽に分化し、一番花の基部から分枝が二本伸びる。分枝の第一節に二番花を分化し、その基部から分枝が二本伸びる。以降はそれを繰り返すので、伸長しながら次々と開花、着果が増加していく。また、多くの水を必要とするが湛水に弱く、排水性の良い土壌を好む。土壌phは6.0~6.5の弱酸性が適する。

・育苗
 育苗はナスと同じ方法で良い。セルトレイは128穴が使いやすく、ポットサイズは10.5㎝が適する。
 第一花が開花する頃が定植適期。植え付けるときは第一分枝を通路に向け、根鉢を土壌面より下にし、深植えにならないようにする。ピーマンはナスより細根性で地表近くに多く乾燥に弱い。活着促進には潅水の効果が高いが、地下水位が高いと青枯病や根腐病を起こすので、高畝や土づくりが重要となる。
 標準的な栽培距離は高さ10㎝程度の畝に、畝間150㎝、株間50㎝、マルチは黒またはシルバーが良い。元肥は窒素成分量15㎏/10aとし、追肥を10回程度に分けて15㎏/10a施用する。耐肥性があるので比較的多めに施肥しても問題なく、草勢を強めにすることが重要である。

・定植
 5月中旬以降トンネルを除去し、主枝や側枝を誘引するため支柱立てを行う。畝の横に150㎝程度の支柱を200㎝の間隔で立てて、60㎝の高さにマイカ線などを横に張り、主枝や側枝を誘引する。
 主枝4本に仕立てたら露地はほぼ放任栽培とし、混んでいる側枝の付け根から切り取り、光が当たるようにする。