スイートコーン

 トウモロコシの中でも甘さを持つ食用品種のグループで、甘味種と呼ばれる。現在は特に甘味が強いスーパースイート系が中心となっている。スイートコーンの他に菓子用のポップコーン、飼料用のデントコーンなどのグループがある。

・作型
 直根性の性質を持ち、直播栽培が適しているが、移植栽培でも若齢定植により収量や品質を確保する事ができる。
 スイートコーンは栽培労力が少なく、他の野菜と共通する病害がないので、クリーニング作物として輪作の中に組み込みやすい野菜である。
 基本作型は4~5月播きの露地栽培である。播種後、二か月で雌穂の絹糸(雌しべ)が現れ、さらに23日経過すると収穫期となる。スイートコーンの品種は生育の早さにより早生系~晩生系までバリエーションに富んでおり、低温期に栽培する早い作型では早生系品種を用い、6月以降の高温期には晩生系品種を用いる。高温期に早生系品種を栽培すると、株が充実しない内に雌穂が発生し品質や収量が低下する。

・種子
 発芽適温は30~35℃だが、8℃の低温や40℃の高温でも発芽する。発芽に必要な積算温度は日平均気温の積算で125~175℃であり、適温であれば5日で発芽する。発芽に水分は必要であるが、比較的乾いた条件でも発芽する。種子には胚乳があり、本葉3~4枚前までに必要な栄養成分は含まれている。
 光合成のしくみの特徴からC4植物と呼ばれ、強光下で高い光合成能力を持っている。生育適温は野菜の中でも高く、22~30℃である。35℃以上になると、雌穂の先端不稔が多くなり、結実に影響が現れる。一方、低温には弱い。土壌適応性は広いが、pHは6.0前後が適している。

・施肥管理
 スイートコーンの養分吸収量は、10a当たり窒素15kg、リン6㎏、カリ20㎏程度である。生育初期の吸収量は少ないが、播種から50日を過ぎた頃から吸収量が増加する。このため、元肥として10a当たり窒素を15㎏、追肥で10㎏程度を施用する。播種または定植の一週間前までには施肥を行う。

・育苗
 育苗には、200~128穴のセルトレイが用いられるが、200穴の方が早く根が回り定植が早まる。発芽までの温度は30~35℃を目標とし、発芽後は30℃以下で管理する。保温にはドンネルや苗キャップを用いる。

・定植
 定植の数日前に透明または黒マルチを敷設し、地温を上げておく。畝幅や通路は70㎝を基準とし、株間30センチの二条植えとする。マルチの規格は9230で、10a当たり栽植本数は450~5000本である。
 移植栽培では、本葉が2~5枚展開した頃が定植適期だが、セルから取り出せるようになったら早めに定植する。
 直播栽培では1穴3粒を播種し、指で2㎝の深さに押し込み覆土して手のひらで鎮圧する。発芽後、本葉が5枚以上になったら、太めの1枚を残し、他は地際から切り取る。定植や直播の直後はトンネルかべたがけにより保温する。様々な被覆資材があり選択に悩むが、一つの目安として3月までの定植や直播には透明のポリフィルムトンネルし、4月以降は不織布とする。