コマツナ
コマツナはカブの一種であるクキタチナを先祖とし、現在の東京都江戸川区で誕生した地方品種である。コマツナという名は、徳川将軍・吉宗が、鷹狩りに際して献上されたものを、その地名(小松川村)にちなんで命名したと伝えられている。
・作型
コマツナは元来秋播きや春播きの野菜であったが、現在は品種改良や栽培技術の発展により周年的に栽培されるようになっている。作型により生育日数に差はあるが、10月下旬から2月播種を除くと、30日以内で収穫が可能になる。産地では年間6作以上作付けされている。
・種子
コマツナ種子の寿命は比較的長く、常温でも3年程度は発芽能力を有する。発芽適温は15~35℃で、播種後2~3日で発芽する。生育適温は20~25℃程度であるが、寒さや暑さには比較的強い。光合成速度は7万5千luxで最大になるが、多少光量が少なくても生育する。光質は赤色光で乾物重が増加し、紫外線や近紫外線で茎葉伸長が抑制される。
コマツナは、播種後低温に遭遇すると花芽形成が始まるシードバーナリゼーションタイプの植物である。品種によって異なるが、10℃以下で3週間経過すると花芽分化する。土壌条件は沖積土の埴壌土が最適だが実際の適応性は広い。pHは5.0以下にならなければ順調な生育をする。
・圃場準備
堆肥は10a当たり年間で2t、石灰100㎏とともの施し、よく耕耘する。これらの作業を作付け一ヶ月前に終えておく。肥料は全量元肥とし、露地栽培で窒素、リン、カリをそれぞれ成分量で14㎏/10a、施設栽培でそれぞれ7㎏/10aを基準とする。連作すると残肥が発生するケーズが多いので減肥する。作期別では夏播きはやや減肥とする。
・播種
コマツナは生育日数が短いので、労力を踏まえると育苗して定植するメリットはほとんどなく、直播き栽培が基本となる。播種床は床幅1~1.2m、高さ5~8㎝程度にし、兵站に均しておく。通路は20~30㎝あれば十分である。施設内の土面が高く排水性に問題なければ、あえて床を作る必要はない。播種は手押し式の播種機を用いると便利である。播種量や株間は播種ロールの種類やギヤ比を変える事で調節し、栽植距離は条間12~15㎝、株間4~5㎝の一本立ちを基本にする。ロール式播種機では種子の大きさによって播種粒数が変わるので、品種に応じた播種ロームを選択する。種子1dLで播種できる面積は約1.5aである。
播種後は、散水式の潅水チューブなどを用いてムラがないように潅水する。潅水の出来具合が発芽や、その後の生育に大きく影響する。播種の3日ほど前に十分に潅水しておくとムラが少なくなる。生育後期は潅水を控え軟弱徒長を防止する。